ヤマシャクヤクを探して 虫倉山
ヤマシャクヤクに会いたい。大輪だがどこか繊細な印象を持つ初夏の花。
野生の花だというのに園芸種みたいだ。というのが第一印象だった。
フタスジカタビロハナカミキリというカミキリムシがヤマシャクヤクの花を食草にしているらしく、灯原氏が見たがっていた。
「虫倉山にヤマシャクヤクがあるらしい」
という情報を灯原氏が得たので、行ってみることにした。
結論から言うと、ヤマシャクヤクの花は登山道では見つけられませんでした。しかしいろんな花に会うことが出来たので、その記録を残します。
2020年5月23日
虫倉山は長野県中条にある山で、姨捨伝説がある地区だとか。今回は不動滝入口から山頂を目指しました。
地元からは親しまれてる山のようで、家族連れの登山客と時折すれ違います。
歩き始めてまず目を引いたのがこの【クルマバソウ Galium odoratum】アカネ科アカネ亜科ヤエムグラ属の多年草で、葉のコントラストが美しい。
沢付近では【ラショウモンカズラ Meehania urticifolia 】が見頃でした。シソ科ラショウモンカズラ属の多年草。
羅生門で切り落とされた鬼女の腕に見立てられてこの名前らしいが、そう言われるとおどろおどろしく見えてきてしまう。
【チゴユリ Disporum smilacinum】イヌサフラン科チゴユリ属の多年草。
この類の小さな花はとても好きだ。稚児というに相応しい愛らしい花。
稚児というと宇治拾遺物語の”稚児のそら寝”がまず思い浮かびます。
しばらく九十九折りの坂を登ると尾根にたどりつき、またすこし歩くと東屋がありそこで休憩できます。
そそこから後立山連峰の展望が楽しめるようになってきて、いよいよ登山らしくなってきます。
尾根が痩せてきたあたりで、嬉しい出逢いが。
【イワカガミ Schizocodon soldanelloides】
イワウメ科イワカガミ属の多年草で、高山植物ですが岩場であれば虫倉山のような低山にも咲きます。
葉っぱの照りが魅惑的。私はこの和名はこの花の特徴をとらえていると思うのですが、灯原氏は不満のようでした。
「カガミイワウメだとかベニバナイワウメのほうがいい。イワウメ科なのだから」
確かに。
でもまあ、イワカガミのほうが風情があるようにも思います。そのまま文学のタイトルにできそう。
そんなことを話していたら山頂に到着。
ドラマチックな雲が忙しそうで、アルプスは見えませんでした。
カナヘビが見れたのでここで手打ちに。
よい土曜日でした。