大雪渓と植物群落・白馬岳2日目
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さて白馬岳2日目です。朝は暴風雨でとても出発できる状態ではなく、時間にも余裕があったので出発を3時間ほど遅らせました。
同行していた友人のテントが水没してしまい、山小屋のカフェテリアで待たせてしまうことになってしまって申し訳ない。
8時:小雨の状態で出発
テント場~白馬岳山頂までは見晴らし皆無の濃霧・小雨。
わーい山頂だ。感慨はない。
写真撮影もそこそこに、黙々と足を進める。心なしか雨も弱まってきた。
雲が流れていき、日射が次第に強まってバッと視界が開けた。
私たちは大喜びでザックを放り投げ、夢中で写真を撮った。
一番展望がよかったのはこのひと時だけで、また私たちは霧の中へ呑まれていった。霧の中は幸い雨はほどんど降っておらず、これ以降カメラをだして写真を撮ることができた。
イワギキョウと異なり、花に毛が生えています。
斜面移動の活発そうなガレ場にいました。
土壌が比較的形成しやすそうなところには、すかさず植物群落が。
ツリガネニンジンの高山変種。変種ってなんじゃそれはと思うけれども、高山変種だけは特別扱いしたくなります。
けっこうトリミングしているので画質が…
ガスった日の山は写真が難しい。
白馬大池に近づくと、湿地性の植物が目立ってきました。
白馬大池で一休みしたあと、乗鞍岳を超えたあたりで、あるスミレに出会いました。
高山のキスミレ類!?クモマスミレ??と喜ぶのもつかの間。キバナノコマノツメでした。クモマスミレは時期を勘違いしていて見れなかった蝶ヶ岳の件もあって、因縁めいてきました。
でも暫くスミレには出会っていなかったので、嬉しい。
最後はいつもの足底筋膜炎のおかげで痛かったですが、降りてこれました。
改めてブログを書いてて思うのですが、写真が酷い…!まだまだ改善の余地ありですが、やはり70Dでは暗い環境でノイズが出てしまうなぁと感じます。
機種替えの季節かなぁ。
大雪渓と植物群落・白馬岳1日目
2020年8月11日~12日の2日間で、猿倉登山口から栂池自然公園まで白馬岳を縦走してきました。
たくさんの高山植物に出会うこと叶い、夢のような2日間を過ごせました。出会った植物を記録していこうと思います。
記録していこうと、思ったのですが、あれよあれよという間に2021年1月3日になってしまいました。正月三が日じゃあないですか。
標高2ⅿ程度の静岡の港町の実家で、標高3000ⅿ付近の高山帯の高山植物に思いを馳せるというものも、なかなか楽しいものです。
今年はコロナウイルスの影響で登山は色々気を使ったなあとか、来年はたくさん登れるといいなぁとか。
会いたい人も、会いたい植物もたくさんできた2020年でした。
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高山植物に会いに蝶ヶ岳
8月だ!高山植物のシーズン!
今年2020年の梅雨明けは、8月1日でした。平年より遅い梅雨明け。
6月末の4連休まるまる休み取ったのに、すべて悪天候!私のスイート高山植物ライフが...
家で予想天気図をと睨めっこしながら、梅雨を恨めしく感じつつ過ごし、高山に行けるのを今か今かと待ってました。
8月5日、ようやく天気がよくなったので蝶ヶ岳に行ってきました!
三股登山口から登頂のルート。5時半ごろ到着しましたが、第一駐車場はほぼ満車でした。みんな梅雨明けを待っていたんだね。
そして登山口では県の職員さんに検温をしてもらいます。そしてそこで
- 熱があった場合は登山を控えてもらう
- 蝶ヶ岳ヒュッテは完全予約制で飛び込み宿泊はできないこと
- 山小屋内ではマスクをつけること、またベンチなどでは間隔をあけ、近い場合はマスクをつけること
- ビバーグ装備を推奨、コロナの影響で救助もすぐ動けません。
という説明を受けました。職員さんお疲れ様です。気をつけて登ってきます!
登山口からしばらく歩くと、渓流沿いにはキツリフネが見られました。はじめて見ましたが意外と大きくて迫力があります。
ツルニンジン?いや花はリンドウだよねと思っていたこの花、ツルリンドウでした。
そのなかの白花変異なのかな?
そしてなんと、3種のランにも会えました。ランには以前より興味があったのでうれしい出会いでした。
アリドオシランは落葉樹林下、コイチヨウランは針葉樹林下、キソチドリは亜高山針葉樹林下で見られるそう。キソチドリがこの中ではいちばん高山系?
マクロ写真は灯原くんが撮影してくれたものですが、これを見ちゃうといいマクロレンズがほしくなる!
さらに標高をあげると、水が染み出すような場所や小さな沢では、オオバミゾホオズキが見られました。
オオバミゾホオズキは亜高山帯の流れのほとりや湿地に生え、ヤマケイの「高山に咲く花」にものっています。登ること3時間ほど、ようやく高山植物帯に侵入したようです。
沢から離れると、草原要素をもつ面々や、高山植物としてよく聞く植物が顔を見せてくれます。
群落の様子
ここまで開けてきたらもう山頂はすぐそこ!
登頂です!ややガスっていましたが雨が降らなくてよかったです。
ここからは高山植物のなかでも稜線付近の厳しい環境に生息する植物たちに会えます。高山風衝草原と言われる群落です。
イワギキョウと異なり、チシマギキョウは花弁が多毛。もふ。
ミヤマソバ構造土に依存した群落を作っていたのが印象的でした。
クモマスミレ(ぬわーっ時期がおわっとる!)
これらの群落は砂礫の粒度の細かさや傾斜によって細かくニッチを分けているのが面白かったです。
美ヶ原のキバナコマノツメ
2020年7月6日
美ヶ原の山頂付近って砂礫だし、環境的には高山植物ちょっと入ってきてもおかしくないよね。
なんて話を春先にしていました。どうやら美ヶ原にはキバナコマノツメがいるらしい。高山とまではいかないが、亜高山の植物。
キバナコマノツメといえば、渓流沿いというイメージだが、いるのだろうか?
いました。
安山岩の節理が凍結破砕された礫の、隙間を探すといます。
うーん。黄色いスミレはキリッとしててかっこいいですね。ロシアではスープに入れて食べるらしい。
うしもいっぱい。キバナコマノツメを撮影してたらいつの間にか周囲を囲まれていました。
その他、美ヶ原らしい草原性の植物たち。
タチフウロ
テガタチドリ
コウリンカ
これから夏山シーズン。たくさん高山植物に会いたいな。
ヤマシャクヤクを探して 虫倉山
ヤマシャクヤクに会いたい。大輪だがどこか繊細な印象を持つ初夏の花。
野生の花だというのに園芸種みたいだ。というのが第一印象だった。
フタスジカタビロハナカミキリというカミキリムシがヤマシャクヤクの花を食草にしているらしく、灯原氏が見たがっていた。
「虫倉山にヤマシャクヤクがあるらしい」
という情報を灯原氏が得たので、行ってみることにした。
結論から言うと、ヤマシャクヤクの花は登山道では見つけられませんでした。しかしいろんな花に会うことが出来たので、その記録を残します。
2020年5月23日
虫倉山は長野県中条にある山で、姨捨伝説がある地区だとか。今回は不動滝入口から山頂を目指しました。
地元からは親しまれてる山のようで、家族連れの登山客と時折すれ違います。
歩き始めてまず目を引いたのがこの【クルマバソウ Galium odoratum】アカネ科アカネ亜科ヤエムグラ属の多年草で、葉のコントラストが美しい。
沢付近では【ラショウモンカズラ Meehania urticifolia 】が見頃でした。シソ科ラショウモンカズラ属の多年草。
羅生門で切り落とされた鬼女の腕に見立てられてこの名前らしいが、そう言われるとおどろおどろしく見えてきてしまう。
【チゴユリ Disporum smilacinum】イヌサフラン科チゴユリ属の多年草。
この類の小さな花はとても好きだ。稚児というに相応しい愛らしい花。
稚児というと宇治拾遺物語の”稚児のそら寝”がまず思い浮かびます。
しばらく九十九折りの坂を登ると尾根にたどりつき、またすこし歩くと東屋がありそこで休憩できます。
そそこから後立山連峰の展望が楽しめるようになってきて、いよいよ登山らしくなってきます。
尾根が痩せてきたあたりで、嬉しい出逢いが。
【イワカガミ Schizocodon soldanelloides】
イワウメ科イワカガミ属の多年草で、高山植物ですが岩場であれば虫倉山のような低山にも咲きます。
葉っぱの照りが魅惑的。私はこの和名はこの花の特徴をとらえていると思うのですが、灯原氏は不満のようでした。
「カガミイワウメだとかベニバナイワウメのほうがいい。イワウメ科なのだから」
確かに。
でもまあ、イワカガミのほうが風情があるようにも思います。そのまま文学のタイトルにできそう。
そんなことを話していたら山頂に到着。
ドラマチックな雲が忙しそうで、アルプスは見えませんでした。
カナヘビが見れたのでここで手打ちに。
よい土曜日でした。
シロスミレに会いに、霧ヶ峰へ
2020年6月6日
そろそろ霧ヶ峰ではシロスミレが咲いているだろうか。霧ヶ峰のキリガミネシロスミレ(タダスミレ×シロスミレの交雑種)も会えたらなお嬉しい。
というわけで行ってきました。
霧ヶ峰~♪
windowsの画面のような景色とは言えず、曇天でした。
シロスミレは湿った高原を好む種で、シンプルな名前とは裏腹にそこまで広く分布していません。
湿原周辺を散策すると、次々とシロスミレが顔を見せてくれます。
葉がすくっと立っているのが特徴的で、涼やかで凛とした出で立ちが初夏の高原を形容しています。
距は控えめで、上の花弁が反り返るのが特徴的です。
ほかにも、サクラスミレを多く観察できました。
サクラスミレは花が大ぶりで、花弁にも独特な光沢が重厚感があり高貴な見た目をしています。
清少納言が枕草子で語った「春はあけぼの。やうやう白くなりゆく山際、少し明かりて、紫だちたる雲の細くたなびきたる。」という紫はこんな雰囲気じゃないかと思っています。東雲ですね。
ゲンジスミレが光源氏ならば、サクラスミレは紫の上でしょうか。
花弁の基部が閉じていて、おしべをみせてくれないのも特徴の1つです。奥ゆかしい...
距が太くて長いのも大胆ですね。観察すればするほど艶っぽくて色気があります。
あと、このサクラスミレ。笹のなかにこのように埋もれて咲いている個体が多かったです。御簾ごしに失礼します。
以下スミレ以外の花々
初夏の高原を代表する花!とよく宣伝されている。個人的には開花前のレンゲのように見える蕾の状態が好きです。
コバケイソウ
湿地に群落を作っていました。
キンポウゲ
オオヤマフスマ
キリガミネシロスミレに会えなかったのが心残りでしたが、いい一日でした。
松本スミレ花暦(山地編)
2019年、本屋で信州のスミレという本を手にしたのをきっかけに、スミレの世界に足を踏み入れました。
2019年・2020年の間にたくさんのスミレに出会うことが叶いましたので、その記録を季節順にまとめてみました。
2022年追記: 当時スミレ探しといえば山の中ばかりだったので、山地で会える種が主になっています。いずれ平地編も出せたらいいなあと思っています...
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